「うつむくあなたのために来た」10.09.05
　マルコ２：１３〜１７
　
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招く
ためである｣と主イエスはおっしゃいます。自分が正しいものとは言えない罪人であることを知る私たちにとって、
慰め深い言葉です。
　人は、誰でも罪を抱えています。神に隠しておきたい罪を抱えています。醜い心を持っています。神を知らなかった時
だけでなく、クリスチャンになってからも、罪をどこかで引きずっている弱く情けない自分に出合うことがあります。
けれども、正しい人ではなく、そんな情けないあなたの罪を赦すために来たと、主イエスはおっしゃってくださいます。
　レビという名の徴税人が登場します。その当時、徴税人は罪人と同じように見なされていました。彼は、どうして罪人
と見なされていた徴税人になったのでしょうか。幼い頃からそれを目指していたというのではないでしょう。イスラエルの
民として、神に従うものでありたいと思っていたのではないでしょうか。しかし、何かのきっかけで、徴税人となって
しまったのでしょう。願っていたのではないのに、いつの間にかそこに身を置くことになり、それを止められなかった。
レビだけでなく、人は、そうやって罪に身を置くのでしょう。病人になりたくてなる人がいないのと、似ています。
　そんなレビに、主イエスは目を止めます。「罪人を招くためである」とおっしゃる主イエスは、罪人を無視なさいません。
その時の主イエスなまなざしには、罪人を赦そうとする愛が込められています。後に、罪人の罪を赦すために十字架に
かかられる方だからです。そして、「わたしに従いなさい」とおっしゃいました。彼は、立ち上がって主イエスに従います。
罪に身を置き、神とのかかわりもなく、希望のなかった者が、立ち上がり、生き返ったかのように、新しい人生に踏み
出しました。主イエスに従う彼は、主イエスによる罪の赦しと愛に包み込まれ、立ち上がりました。