「滅びでなく救いへ」10.05.16
 創世記 9:1〜17
 
ノアの箱舟の物語です。神がお造りになった世界に、はアダムとエバの子孫が増えましたが、
残念なことに悪と不法も広がりました。罪を抱える人が、次々と悪を考えたからです。主なる神は、
悪を放っておくことは出来ません。深く心を痛めながらも、悪の広がった世界を滅ぼす決断を
なさいました。神は、ノアという人に、箱舟を作るようにお命じなります。ノアは、神の言葉を信じ、
自分とその家族、そしてすべての生き物ひとつがいが乗り込むことのできる大きな舟を作りました。
完成した船にみんなが乗り込むと、雨が降り始め、四十日四十夜続き、世界は大洪水となり、
すべて水に飲み込まれてしまいました。そして、雨がやんで何日もたって、ノアたちはようやく水の
ひいた地面に降り立つことができたのでした。
 洪水が起こったことは、神が罪を放っておくことのできない義なる神であり、罪に対する厳しい態度
を明らかにします。しかし、そこに箱舟が登場するのです。箱舟は、裁きを超え、その先へ道を開く
ものです。滅びを最終結論としない神の憐れみが、箱舟を登場させるのです。私たちは、この物語を、
洪水の物語でなく、箱舟の物語として読むのです。
 ノアの、神に従う姿も注目に値します。箱舟を作るノアに対して、周囲の人々は嘲ったに違いありません。
それでも彼は、箱舟を作り上げて生きました。周囲の人よりも、神に効き従う者でありたいと思います。
しかし、ノアの姿が中心の話ではありません。神が、ノアに箱舟を作らせたのです。神が箱舟計画を立てて、
救いの道を開いてくださいました。そのような神の愛と憐れみを知らされるからこそ、この物語を読むと
嬉しくなるのです。
 この物語の結びの部分で、神は一方的な契約を立てられました。「もう二度と洪水によって滅ぼさない。」
そのしるしとして、虹をお造りになりました。この世界は、虹のある世界です。神が憐れみを注ぐ世界です。
それゆえ、希望がある世界です。